火の色の花が咲くことから、蝋燭草という名がついたらしい。
花弁は細長く、拡がらずに筆先のような形になる。
根元から、白、黄色、朱色になっている。
正に蝋燭の炎のようだ。
葉は白っぽい緑で、これがまた花の色を引き立てる。
今、私は草原にいる。
暗い中、花の色が月明りを受けて光り、本当に火が点いているようだ。
蝋燭草が一面に生えているので、地面がぼんやり明るい。
まるで、魂を送る儀式のようだ。
黄と朱の合間に、黒い影が潜んでいる。
青い眼が光った。
自分よりも大きい獣のようだ。
青が爛々と音もなく近づいて来た。
そうか、何か妙だと思ったら、ここには音が全くない。
気付くと、青は目の前まで来ていた。
獣の正体は白虎であった。
蝋燭草がたくさん生えていなければ、すぐに見つけてしまっただろうほど、見事な白の毛皮だ。
縞も緑がかったグレーで、美しい。
白虎は私を見つめている。
わかった、と私がうなづくと、あっという間にひとのみにされた。
白虎の中は時間だった。
豪速で何かを遡り、送ると、あまりの情報量に気を失った。
気がつくと、部屋のベッドに居た。
窓から入道雲が見え、ツクツクボウシの声だけが聴こえた。
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