窓から春の景色が見える。
何故春だと分かるのかと言うと、菜の花の黄色と葉の明るい黄緑が一面に美しいからだ。
かたたん、かたたん、と音がする。2両編成の電車に乗っている。電車は菜の花の美しい中を進んで行く。
線路が真新しいのか、銀にきらりきらりと光る。
電車には同僚が乗っている。
みな眠そうだったり、話していたりするので、特に邪魔をせず、窓からの景色にまた目を移す。
熱くもなく寒くもなく、心地いい風が頬をなでていく。
いつの間にか降りる駅だ。
小さなホームが見えた。同僚はもういない。
改札を通って緩い坂を登って行く。気付くと学生カバンを持っている。
家に着いた。何だか扉が大きく、背が高い。自分が縮んだかのようだ。
新築で明るい白木の床がまぶしい。
色とりどりの積み木で遊び始める。あれ、と思って自分の手を見ると、5歳程の子供の手だ。そうか、私はまだ子供だったのか。
窓を見上げると、オレンジと紫が美しくまじる空に金星が光っていた。眠る時間だ。
抱き上げられて、ふわふわのガーゼの布団をかけられる。眠る事が不安でぐずる。優しい手がとんとんとお腹の辺りをたたいてくれるので、安心して眠くなる。
眠る前には私は赤ん坊になっていた。
春の電車が連れて行ったのは「家」だったのか。
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