音もなく、青白くひらひらと舞って行く。寒いはずなのだが、と思い至って、雪ではないことに気付いた。桜の花弁である。
目を凝らすと、トンネルのように桜の木が左右に一列となっており、道を包み込むように枝が伸びてきている。
夕闇にすっぽり隠れる前の空の色を映して、青白く光って見えたのだ。
それにしても、花弁は散るのが早い。
見とれて立ち止まる。
周りの人達は、足早に向こう側に行ってしまう。折角の桜だというのに。
やはり立ち止まる私を追い抜く肩に既視感を覚えた、ああ、と思うが、余りの足取りの軽さ、迷いのなさに、手が空を泳ぐ。声がでない。もう届かない。
今は見送る役目なのだ。と頭を振る。
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