竹薮の中に黄色い木を使った障子が見える。石庭から、前髪の揃った乙女の荷物整理の様子を眺めている。
私は蛙である。石の色に擬態しているからか、気づかれていない。
乙女の部屋は父と母の部屋に挟まれ、愛と言う名の檻となっている。
離れたところに工房があり、この家は刀を打つことが生業とわかる。
子は乙女しかおらず、彼女はこの家を継ぐ予定となっている。
庭に誰か迷い込んだ。
通常は入れないはずだが、何かの拍子に入ってしまったらしい。
精悍な若者であった。しかし、彼は住む世界が違う。竹薮を通って帰るよう促す。
乙女は彼を見てしまった。
竹薮の中を、彼を追う乙女。捕まえて説得するが、瞳に焔が宿っている。仕方なく、水溜りを使って写し鏡をすると、男はもう自分の世界へ戻ってしまった後だった。
焔だけが残り、乙女の肌は映し出されて白く浮かび上がる。
鍛治は高熱の焔を得て、宿る刀を作り出し、若者の息子がそれを手にし、気が触れて若者を亡き者とした。それからも、宿る刀は人の手を渡り続け、見兼ねて父が私に回収を命じた。
回収に行くと、時代に翻弄されて酷く傷ついた若者の手にそれはあった。しかし彼はそれを用いて命を奪うことをしなかった。眺め、自分の心と語り合い、技を磨くことが己と刀の間柄と言う。
そんな彼に食い扶持はない。
乙女に頼み込み、浄化を試みる。
しかし、宿りは消せなかった。彼の魂は竹薮を経て、屋敷にたどり着いた。
乙女は彼と一緒になり、また鍛治は継がれていくこととなった。
宿りはまだ、現世に残るままである。