2013年8月31日土曜日

橋の渡り方

煉瓦造りの橋を渡って密談に向かう。
雨が降っている。合羽が濡れて、てらてらと光る。
床屋に着いた。そこで情報屋と話をする。憶えのある声を聞いて驚くが、今の姿では私とわかるはずはない。
橋を渡って戻ろうとするが、検問をしている。橋をどう渡ろうか、逡巡する。

2013年8月18日日曜日

キビ畑の奥

仕事を真っ白な新しいオフィスでしている。依頼主がなかなか頑固で何ともできない。

キビ畑の前に立つ。自分よりも背の高いキビをかき分けていくと、唐突に結界の中に出た。奥の家では、依頼主が客人に馳走を振舞っている。普通は依頼主が許さなければ入れないようなのだが、何故か入ることができた。
依頼主の奥方の料理を手伝おうとするが、客人には手伝わせられないと断られる。離れで着替えて、そのまま眠りにつきそうになるが、依頼主の疑う気配を感じて、そわそわした。
自分自身もわからないのでしようがない。
キビ畑は夕闇の中、さわさわと風で音を立てる。まるで波立つ私の心のようだ。

2013年8月11日日曜日

竹薮と乙女と血筋

竹薮の中に黄色い木を使った障子が見える。石庭から、前髪の揃った乙女の荷物整理の様子を眺めている。
私は蛙である。石の色に擬態しているからか、気づかれていない。
乙女の部屋は父と母の部屋に挟まれ、愛と言う名の檻となっている。

離れたところに工房があり、この家は刀を打つことが生業とわかる。

子は乙女しかおらず、彼女はこの家を継ぐ予定となっている。

庭に誰か迷い込んだ。
通常は入れないはずだが、何かの拍子に入ってしまったらしい。
精悍な若者であった。しかし、彼は住む世界が違う。竹薮を通って帰るよう促す。
乙女は彼を見てしまった。
竹薮の中を、彼を追う乙女。捕まえて説得するが、瞳に焔が宿っている。仕方なく、水溜りを使って写し鏡をすると、男はもう自分の世界へ戻ってしまった後だった。
焔だけが残り、乙女の肌は映し出されて白く浮かび上がる。
鍛治は高熱の焔を得て、宿る刀を作り出し、若者の息子がそれを手にし、気が触れて若者を亡き者とした。それからも、宿る刀は人の手を渡り続け、見兼ねて父が私に回収を命じた。

回収に行くと、時代に翻弄されて酷く傷ついた若者の手にそれはあった。しかし彼はそれを用いて命を奪うことをしなかった。眺め、自分の心と語り合い、技を磨くことが己と刀の間柄と言う。
そんな彼に食い扶持はない。

乙女に頼み込み、浄化を試みる。
しかし、宿りは消せなかった。彼の魂は竹薮を経て、屋敷にたどり着いた。
乙女は彼と一緒になり、また鍛治は継がれていくこととなった。
宿りはまだ、現世に残るままである。

アズールストライプの雨

春の雨の中に、やさしき水色のストライプの壁の小さな二階建て雑貨店が立っている。
カスタードクリーム色の土壁にコーヒークリーム色の影が美しく落ちる。

七生竹雄、と店主の名前があるのみだ。

店長と小さな女の子の物語がそこにあり、女の子はフリルのエプロンと編み上げブーツで店番、二階では店長が帽子を作る。

店長の部屋は生地と飾りと糸で色の洪水である。

中二階から裏口に出ると、コーヒークリーム色の影の中を弾ける流星が雨をパチパチ弾きながら逃げて行くのが見えた。

火花が白の金平糖となり、桜貝とともに、新作帽子の飾りとなった。